
せっかくの留学なのだからと、買った「月と6ペンス」。
残念ながら、自分の語学能力からみれば背伸びをしていると言わざるを得ない。会話形式や情景描写は何とかついていけているが、細かい心理描写や独白形式の部分に差し掛かると内容を追えているかどうか、怪しくなる。
まぁなんとか2/3程度は読み終えることが出来た。洋書は難しいものを読み始めて挫折するのが一番ダメなパターンだと言われるが、自分の場合は読書という行為に対する虚勢も手伝って、なんとか読み終えることが出来そうだ。もちろん、次はもっと簡単な本にするつもりだが。
とは言っても。
やはり母国語とは違う環境では、どうしてもフラストレーションが溜まる。
言いたいことが言えない、何を言われたか理解するのに時間がかかる、など。当然、モノを読むときもこれとは無縁でいられない。200ページの小説を読みこなすのに、1週間も時間がかかっているのである。
我慢できなくなって、日本から持ってきたこの一冊に手をかけた。
小説を同時並行で読むのは好きじゃないが、この際仕方がない。砂漠を彷徨っているときに、喉の渇きに任せて水筒を飲み干すように読み終えてしまった。
宮部みゆきという作家の名前は当然知っていた。
これまで手を出してこなかったのは、司馬遼太郎にハマって以来、ノンフィクションに近い作品に傾倒する癖を持ってしまったことと無縁ではないだろう。つい先月に「永遠の0」をあそこまで批判したとき、自分は本を楽しむ読み方が出来なくなっているのではないかと不安になった。だから日本から持ち出す本の中に、宮部みゆきの小説を入れておいた。
初めての著者なので、簡単に経歴を調べておきたい。
宮部 みゆき(みやべ みゆき、1960年12月23日 - )は、日本の小説家。東京都江東区生まれ。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。
OL、法律事務所、東京ガス集金課勤務[1]の後、小説家になる。1987年、「我らが隣人の犯罪」でデビューする。以後、『龍は眠る』(日本推理作家協会賞受賞)『火車』(山本周五郎賞受賞)『理由』(直木賞受賞)『模倣犯』(毎日出版文化賞特別賞受賞)などのミステリーや、『本所深川ふしぎ草紙』(吉川英治文学新人賞受賞)『ぼんくら』などの時代小説で人気作家となる。ほかに、ファンタジーやジュブナイルものの作品がある。
wikipediaからの引用である。他にも興味深いエピソードが色々と書かれていたが、普通の経緯の人物ではない。ただ、多くのロングセラーを打ち出しているところを見ると、凄腕の作家であることは疑う余地もないだろう。
さて、今回の「龍は眠る」はどうだったか。
非常に面白かった。自分は読みながら「こういう展開だったら、ご都合主義で嫌だなぁ」というように考えながら(意地悪く)読んでいるが、まったく、かすりもしなかった。当然だが。
何より気に入ったのが、個々の人物の内面が深いことである。描写すべきところは細緻に語られており、読んでいて引き込まれるものを感じた。
この物語は二人の超能力を持った青年と、雑誌のライターである主人公を中心に描かれている。
超能力を題材に扱っているから、確かにそこにリアリティの色彩は薄いと言えるかもしれない。しかし、この作品はより一般的に考えれば「能力」が一つの主題になっている。タイトルの「龍」も、人が持つ能力を示したものである。超能力を持つ二人の青年、人並みな能力を持つ人間、そして能力に障害を持った女性や主人公。こうした人々の交錯を通じて、物語では「能力を持つこととは、どういうことか」「能力を持たないこととは、どういうことか」を描いていると考えられるのである。
鮮やかなコントラストが見られる登場人物たちの悩みと行動で物語は動き、そして収束していく。非常に高いレベルで完成された作品だと感じさせられた。
とにかく、面白かった。
日本の両親に、宮部みゆきの本を送ってもらうように頼んでみようか。
残念ながら、自分の語学能力からみれば背伸びをしていると言わざるを得ない。会話形式や情景描写は何とかついていけているが、細かい心理描写や独白形式の部分に差し掛かると内容を追えているかどうか、怪しくなる。
まぁなんとか2/3程度は読み終えることが出来た。洋書は難しいものを読み始めて挫折するのが一番ダメなパターンだと言われるが、自分の場合は読書という行為に対する虚勢も手伝って、なんとか読み終えることが出来そうだ。もちろん、次はもっと簡単な本にするつもりだが。
とは言っても。
やはり母国語とは違う環境では、どうしてもフラストレーションが溜まる。
言いたいことが言えない、何を言われたか理解するのに時間がかかる、など。当然、モノを読むときもこれとは無縁でいられない。200ページの小説を読みこなすのに、1週間も時間がかかっているのである。
我慢できなくなって、日本から持ってきたこの一冊に手をかけた。
小説を同時並行で読むのは好きじゃないが、この際仕方がない。砂漠を彷徨っているときに、喉の渇きに任せて水筒を飲み干すように読み終えてしまった。
宮部みゆきという作家の名前は当然知っていた。
これまで手を出してこなかったのは、司馬遼太郎にハマって以来、ノンフィクションに近い作品に傾倒する癖を持ってしまったことと無縁ではないだろう。つい先月に「永遠の0」をあそこまで批判したとき、自分は本を楽しむ読み方が出来なくなっているのではないかと不安になった。だから日本から持ち出す本の中に、宮部みゆきの小説を入れておいた。
初めての著者なので、簡単に経歴を調べておきたい。
宮部 みゆき(みやべ みゆき、1960年12月23日 - )は、日本の小説家。東京都江東区生まれ。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。
OL、法律事務所、東京ガス集金課勤務[1]の後、小説家になる。1987年、「我らが隣人の犯罪」でデビューする。以後、『龍は眠る』(日本推理作家協会賞受賞)『火車』(山本周五郎賞受賞)『理由』(直木賞受賞)『模倣犯』(毎日出版文化賞特別賞受賞)などのミステリーや、『本所深川ふしぎ草紙』(吉川英治文学新人賞受賞)『ぼんくら』などの時代小説で人気作家となる。ほかに、ファンタジーやジュブナイルものの作品がある。
wikipediaからの引用である。他にも興味深いエピソードが色々と書かれていたが、普通の経緯の人物ではない。ただ、多くのロングセラーを打ち出しているところを見ると、凄腕の作家であることは疑う余地もないだろう。
さて、今回の「龍は眠る」はどうだったか。
非常に面白かった。自分は読みながら「こういう展開だったら、ご都合主義で嫌だなぁ」というように考えながら(意地悪く)読んでいるが、まったく、かすりもしなかった。当然だが。
何より気に入ったのが、個々の人物の内面が深いことである。描写すべきところは細緻に語られており、読んでいて引き込まれるものを感じた。
この物語は二人の超能力を持った青年と、雑誌のライターである主人公を中心に描かれている。
超能力を題材に扱っているから、確かにそこにリアリティの色彩は薄いと言えるかもしれない。しかし、この作品はより一般的に考えれば「能力」が一つの主題になっている。タイトルの「龍」も、人が持つ能力を示したものである。超能力を持つ二人の青年、人並みな能力を持つ人間、そして能力に障害を持った女性や主人公。こうした人々の交錯を通じて、物語では「能力を持つこととは、どういうことか」「能力を持たないこととは、どういうことか」を描いていると考えられるのである。
鮮やかなコントラストが見られる登場人物たちの悩みと行動で物語は動き、そして収束していく。非常に高いレベルで完成された作品だと感じさせられた。
とにかく、面白かった。
日本の両親に、宮部みゆきの本を送ってもらうように頼んでみようか。
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